クワガタムシ( Lucanidae )の古い文献

クワガタに関する古い文献は、英国、フランス、ドイツなどで出版されたものが多く、絵図を多数載せた図版カタログは英国のParry 1864 (TRANSACTIONS ENTOMOLOGICAL SOCIETY of LONDON) が世界最初だと云う。これには世界のクワガタについて、解説と新種の記載もされており12枚のプレートの一部はカラーでツヤクワガタの仲間 Odntorabis やオオシカクワガタ Rhaetus westwoodi、など約53-55種が図示されている。中にLucanus hopeiとして記載された日本のミヤマクワガタの図もあるが産地がマレー諸島とされている。



フランスの Louis Marie Planet は Lucanus の亜種や型についての文献を多く書き新種の記載と精細なクワガタの図を沢山残した。クワガタを研究する上で最も知られている R.DIDIER et E.SEGUY 1953 LUCANIDES DU GLOBE にもL. Planetの描いた図が多く載せられている。


R.DIDIER et E.SEGUY 1952テキスト版と1953図版カタログ


1953図版カタログ L. Planetの残した図が多く

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Le Naturaleste 1895-1905(フランス) あたりにL. Planetのクワガタ関係の記事が幾つか見られる。後に Essai Monographique Pseudolucanus & Lucane ⅠとⅡにまとめられフランスのDEYROLLE / デロールから出版されているが、出された年が書かれていない。後の資料によってもⅠが1898年、Ⅱが1899年とされていたり、Ⅰが1899年、Ⅱが1902となっているものもある。再販されたのかもしれないが、そのあたりはよく分からない。これらは全てLucanusについての新たな種の記載も含む論文でありこの時期クワガタに関してL. Planetはミヤマの仲間に傾倒していたようだ。(2011/12に若干書き加えました)



Le Naturaleste 1897 L. Planetの論文の一部

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Essai Monographique Pseudolucane & Lucane I


Lucanus cervus Poujadei. に関しての記述


Lucanus cervus Poujadei. に関しての記述



Essai Monographique Pseudolucane & Lucane II



Lucanus cervus Poujadei. に関して
三回目の論文で産地は現在のレバノン(Ghazir)であるとしている。



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DIDIER (R.) Atlas des Coléoptères Lucanides du Globe. 20枚のプレートにL. Planetによるミヤマクワガタ属19種(亜種)の美しい図が載る。1949年に出されたオリジナル版は高価だが、1982年にリプリントされたものは比較的安価で昆虫の書籍を扱う店などに稀に置いてある。



写真は1982年のリプリント版