Lucanus cervus tauricus Motschulsky, 1845 タウリクスヨーロッパミヤマクワガタ

子供の頃、夏になると虫とりは楽しみな遊びの一つでした。朝早く近くの雑木林でクワガタを見つけると嬉しくてその日いちにちウキウキ状態が続いたものです。暇さえあれば図鑑のページが手垢で黒く変色するほど眺めたのはまだ見ぬミヤマクワガタのページ。家は関東平野のど真ん中に位置していたわけで、図鑑に載るミヤマクワガタなる種は探しても絶対に見つかりませんでした。結局、遠出できるような年齢になるまで本物は手にすることは叶いませんでしたが更に歳が行ってもその頃のトラウマが残っていた? らしく何のきっかけが有ったか記憶が定かではなくなってますが、ふらふらと今では超有名な「む○社」なるところへ行ってしまったのです。大昔のことなので現在の店内とはずいぶん違っているかと思いますが、当時標本販売コーナーにあったヨーロッパミヤマをひと目みたことが運の尽き、標本を集め出すきっかけになったのは「○し社」で買ってしまったフランス産ヨーロッパミヤマでした。

 

フランス産ヨーロッパミヤマ。標本第一号です。

 

当時はカラーでこの種が載る書籍や図鑑は見たこともなく、む○社で初めて実物を見てこんなに綺麗なワインレッドになるんだーっと、すぐさま衝動買「こっ、これ下さい」となったしだいです。ちと危ない奴に見えたかもしれません。iPhoneで撮影するとなおさら色が強調され肉眼で見るよりワインレッドが鮮やかになってます。

 

昔話はこれぐらいにして、今回は多分あまり有名ではないヨーロッパミヤマのひとつを取り上げて書いてみました。変種か地域型か亜種か種か人によって扱いは違うと思いますが、このクリミヤ半島産の標本を送ってくれた欧州の研究者には亜種として扱う方もいました。とりあえず産地ラベルと外見で他地域との区別はつくよう見えます。

 

クリミヤ半島からの タウリクスヨーロッパミヤマ 45mmから58mm

 

1845年にロシアのモチェルスキー氏が記載した, Lucanus cervus tauricus に該当するとして良いと思います。体色はフランス産のようなものは今のところ見ていません。体表の点刻は幾分荒く他の多くの地域のものより艶消しに見えます。触角片状部は全ての個体4節で5節に見えるものはありません。

 

 

 

 

左の2頭は南ロシア産、一番右がクリミヤ半島産。

体長の同じくらいのものを並べてみました。クリミヤ産は大顎が他地域より発達しない印象です。

 

 

クリミヤ半島産58mm頭部。

大顎の一番大きい一本の内歯から先の歯にも特徴があるようです。

 

 

クリミヤ半島産45mm小型個体。

このサイズになると大顎の中程にある一番大きい歯とその先の内歯が融合し台形に近いカタチになってスジクワガタの内歯に似ています。

 

 

さらにクリミヤ半島産。

 

3頭並べて Lucanus cervus tauricus Motschulsky 1845 タウリクスヨーロッパミヤマ。真ん中の個体は写真で分かるくらいこの亜種?の特徴を備えているようで、全長に対してエリトラの比率が大きいです。

 

ここでタウリクスについて少し詳しく書いてます、興味のある方おりましたら見てください。

https://www.asahi-net.or.jp/~zt6h-akys/tau/index.htm

 

今回扱った地域が早く平和になるようお祈りいたします。