蜻蛉撮り ルリボシヤンマとオオルリボシヤンマ

八月の初旬、昨年何度か通った茨城県のポイントで今年もオオルリボシが飛び始めた。ここは周りを森に囲まれた人目につかない狭い水溜まりである。もっと標高の高い遠方に行かなければ見られない種だとばかり思っていたオオルリボシとルリボシがこんな近所に居ると知り、当初は意外ながら嬉しい発見をしたと一人ほくそ笑んでいた(笑) 後に知ったがこの近辺には幾つか同じ様な場所があるらしく、トンボに詳しい方達には以前から良く知られた地域だったようだ。
昨年初めてここでオオルリボシヤンマとルリボシヤンマを撮影したのだが、幾つかの文献からの印象(先入観ですか)でオオルリボシがこんな薄暗い狭い水溜りの上をクロスジギンヤンマの様に縄張りするとは意外だった。早朝薄暗い六時頃には飛び始める個体がいて大抵近くに別の個体が待機しているのかすぐにバトルが始まる。時には三つどもえになる事もありかなり激しい。快晴の日には日が差し込み始めるとお休みするのか、何処かへ行くのか? 姿が見えなくなる。
この場所には両種とも産卵に来るが曇りの方が確率が高いようだ。同じような気象条件でも前日は盛んに産卵していたのに次の日は全く来ない事もあるからトンボは良く分からない(笑)


写真は昨年と今年に撮影したもの。


オオルリボシヤンマ



2016年8月14日 オオルリボシヤンマ。狭い場所で縄張り飛翔は数時間に及ぶ事もあり同類に限らずヤブヤンマ、オニヤンマ等来たものはすべて追い払い、上空を飛ぶ小鳥にも反応しスクランブル、大型のアゲハも追跡撃退、小型の蝶は捕まると餌になる。大型の蝶はモンキアゲハを今年初めてここで見た。



2016年8月21日 オオルリボシヤンマ
周囲は森で鬱蒼とした場所なので撮影はフラッシュ使用になってしまう。オオルリボシは雌が産卵中他の種のように産卵を妨げないと聞いていたが、なるほどオオルリボシの雄は雌が産卵しているとその上で護衛飛翔(ホバリング)する。



2015年9月13日
産卵に来たオオルリボシヤンマ雌。まずは場所の状況確認するようでしばらく飛び回る。この時ここを住処にしているでかいウシガエルに飛びかかられたりして食われないまでも驚いて飛び去ってしまう事も多い。



2015年9月13日オオルリボシヤンマ産卵。



2015年9月13日 細い枝にも産卵。この雌は三十分以上にわたり人もフラッシュも気に留めず産卵を続けた。



2016年8月25日 オオルリボシヤンマ水草らしきもの? に産卵。ブルーが混じる綺麗な雌だったがこれだけですぐに飛び去ってしまった。 



2016年8月26日 オオルリボシヤンマ。爆産モードに入るとあちこち辺りかまわずという感じで産卵しコンクリート壁にも産卵しようとしていた。この日は気温が上がり午後になって現地に行ったのだが、三時過ぎにこの一頭が来て爆産。

                                                                                                                                • -

ルリボシヤンマ


この場所でルリボシヤンマが現れたのは昨年も今年もオオルリボシよりも遅く八月の中頃だった。午前中よりも午後に来る事が多いようで雄は15分から30分ほど縄張り探雌して何処かに行ってしまう事がほとんどで、運が良い日にはこれを何度も繰り返し見られる。



2015年9月19日 ルリボシヤンマ。



2015年9月22日 ルリボシヤンマ。 



2016年8月25日 ルリボシヤンマ。言われるようにオオルリボシヤンマよりもホバリングする個体が多く飛翔写真を撮れる確率は高い。ただし個性があるのか、その時の状況によるのか、良くホバリングするものと殆どしない個体がいる。ここに良く来るホバリング得意? とされるタカネトンボも同じで中に殆どホバリングせず、嬉しそうに盛んに飛び回るだけのものもいる。



2016年8月25日 産卵に来たルリボシヤンマ雌。雌はオオルリボシと良く似ていて飛んでいると区別が難しいが、体側の模様が若干違う。



2016年8月25日 同個体、まず枯れた笹の葉に産卵。ルリボシヤンマはオオルリボシヤンマよりも少し用心深いのか、茂った植物などに潜り込み産卵する事も多く写真が撮りにくい。



2016年8月25日 同個体、浮いた枯れ枝にも産卵。



2016年8月25日 同個体、やはり産卵モード全開になると産卵するモノに見境が無くなるのか最後はコンクリート壁に何が何でも産卵しようと兆戦していた!!




2016年8月31日ルリボシヤンマ雌。この日産卵に来たのはこの一頭だけしか見なかった。 


8月25日は日中偶に小雨などが降ったのだがトンボにとって産卵に適した条件だったのか、オオルリボシ、ルリボシ、タカネトンボが何度も産卵に来た。昨年この時期には全く見かけなかったヤブヤンマも雄、雌ともに飛来し雌が一時間も滞在し産卵を続けていた。
トンボの天敵カエルは何種か住み着いているのだが、どうした分けかまだここでオタマジャクシを見た事がない。産卵の撮影をしていると大型のウシガエルは人を警戒し水に潜ったまま姿を現さずほぼトンボが食われる事は無いが、狭い場所なので普段は産卵中カエルに食われるトンボも少なくないと思う。
ここに産卵されるトンボ達の卵の数はかなり多いと想像するがイトトンボの類を除き今年ここで見つけたヤンマのヤゴの抜け殻は今の処オオルリボシヤンマが一頭だけである。無事羽化まで行く確率は低い場所かもしれない。