蜻蛉撮り カトリヤンマのホバリング

予てから良い飛翔写真を撮りたいと思っていたカトリヤンマである。以前は家の近くでも発生していたようで羽化から間もない未熟個体が林の中に群れていたと聞く。その場所はとうの昔に潰れてしまい見る影もないのだが、まだカトリヤンマが生息していてもよさそうな環境は何ヶ所か残っている。何とか姿を見たくて幾度か通うものの結局今年は確認することはできなかった。ただ、散発的に目撃される個体があり近隣の産地は開発でかなり潰れてしまったがまだ何処かで細々発生しているようだ。
九月に入って車で一時間半程度の距離にカトリヤンマの生息地があるとの情報を同好の士から聞いた。主に鳥を撮っている方の目撃談で産卵場所などの詳しいことは分からなかったのだが、行ってみるとかなりの数が見られて感謝である。九月の終わりから十一月始めまで一ヶ月と少しの間、何度か出かけ写真を撮ることができた。



九月の終わりに初めて撮影した雄。最初に現地に行ったとき(昼ごろ)何頭かの雄が林の中をヒラヒラと飛んでいたのだが、これは止まっている雌を探しているようで、同じ場所で待っていると次々に現れた。林の中や竹薮のせまい隙間をぬって器用に飛ぶが勿論撮るのは難しい。また良い位置に中々止まってくれず静止写真も多く撮れなかった。交尾中のものは見つけられずまた来年。




十月四日撮影。産卵場所をやっと見つけることができたが水は無く周囲を林に囲まれた浅い沼が干上がったような所である。地元の方によると梅雨時や台風で大雨が降ると水が溜まって鳥なども集まることがあると云う。ここでは十月の初めに午後二時半頃から六時頃まで活動産卵する個体が見られたが、十一月の初めになると正午前後から現れ午後三時を過ぎると殆ど姿が無くなってしまった。雨の降った後に良く産卵するとも聞いたのだが、これは天候の良い日を選んで現地へ行った為に確かめられなかった。ここでは草に潜って産卵することが殆どで産卵中の写真が撮り難い。




十月四日撮影の雌。産卵場所を歩くと草の下に潜って産卵している雌が飛び出してくる。そのまま飛び去るものと、中に産卵を邪魔され何事かと言わんばかり(笑)にその場でホバリングを始めるものがいて、何とか飛翔を撮ることができた。



産卵中に一休みする雌。十月十八日撮影。探雌する雄がいても良さそうなのだが産卵場所に飛ぶ雄はこの日も見つからない。




十月二十五日撮影の雄。この日初めて産卵場所の草むらの上を低く飛ぶ雄の姿を発見した。午後二時頃から飛び出し中にホバリングする個体もいるが、沢山いる雌より圧倒的に少なく三頭か四頭程度。一面の草むらの上で低くホバリングすると草の色と紛れて発見しにくく今日まで見つけられなかったのもそのせいかも知れない。カトリヤンマ以外にアキアカネノシメトンボ、ミヤマアカネなども飛んでいるので尚更である。
ここに何度か通う中で雨の後に一度だけ水が溜まった状態になり、水面のホバリングを期待したのだが、その日、何故か雄は飛ばず残念ながら水の上の姿は撮れなかった。





十一月三日撮影。この日は午前十一時頃に現地へ到着、気温は22℃まで上がり快晴で、すぐに雄を発見できた。三頭程度が飛び良くホバリングしてくれたが中には相当羽根の痛んでいるものがいた。産卵する雌は頻繁に現れ、おそらく雌は更に晩秋まで見られると思う。
今年はこの日でカトリヤンマの撮影は終了として、また来年に期待。